cruel fairy tale


knight ...04

cruel fairy tale


昔々、


乱暴者がおりました。


乱暴者は、
その強大な力故、

皆に嫌われました。


ただ一人を除いては、

cruel fairy tale







「魔女学校っつー割には、普通ーだな」

なんだか最近建物を仰ぎ見ることが多くなった。


「魔女学校ではない。正確には、ガヴン育成機関、聖ドルイド学園だ」

どう違うのか、よく分からない。


えーと、この前はどこまで話したっけ?
…あ、そうだ。

なんか変なガキんちょに気絶させられて、起きたら次は学校に行くとか言い出して、学校の門の前にいるんだった。




『はっあっ〜い♪』
「うぉっ!?!?」
「どうし―……ああなんだそやつか」

壁から、声がしたかと思ったら、そこからぬめ、と幼児体型な人形が現れる。聖夜の反応から察するに、どうやらこれも"普通"のことらしい。


「なんだ?……このキューピー体型野郎は…」

ひしっ、と胸にへばり付く壁色をした人形を片手で持ち上げる。

『キミぃっ!!しっけいなぁ!キューピーちゃんじゃないよぅ!ぼかぁ、門衛のモンちゃん☆モンモンとか呼ばれたりするけど、好きに呼んでいーよっ♪』


顔はしっかりと浮き出てはおらず、うっすらと掘りが浅い。そんな瞳をぱちん、と閉じ、紅葉のような手を広げる。


『キミが入学するってゆーから、校長せんせーに、案内頼まれたんだー♪』
「門衛。さっさと中に入れろ」
『あらら。聖夜ちゃんじゃないのん!任務お疲れさまー☆いつも言ってるでしょ?ぼかぁモンちゃんだ、って♪でもねーでもねー、まずぼくは魔力チェックしないとなんだなー!!』
「魔力…チェック?」

質問したつもりはないが、門衛…もとい、モンちゃんはそう取ったらしく、嬉しそうに空月とその低い鼻をくっつける。

『ややっ!いーい質問だねぇ!!ここでは侵入者を防ぐために来訪者には魔力チェックを行ってるんだーっ!もうすぐ身体検査があるから詳しい結果が欲しいならそこで貰いなよ☆と、ゆーワケでぇ、モンちゃんのぉ、魔力チェック!!!!』

ガッ、と見開いた目から緑色の光が飛び出し、上下左右に忙しなく動く。
ピー、炊飯器が炊けたような合図の後、口から5センチくらいの紙が飛び出る。

そのまま一時停止してしまい、後ろに位置する聖夜に助けを求めると、「その紙を抜け」と言う。

言われた通り抜くと、文字や英数字の羅列。
パッと聖夜に取られ、反応を待っていると、いつもに増して、不機嫌な表情。

「門衛の…故障か?」
『しっけいなぁ!ぼかぁ故障なんてしてないもんね!!』

またも無意味なポーズを決める。

『ちゃぁんとデータを―』

パッ、とレシートのような紙を、見せると、得意気な顔が一変。リスのように頬に空気を溜めて吹き出した。

『あははっははははぁーっ!なぁーにその数字っ!?人間ってゆったって、そこまで低いの初めて見たよぉ〜?低すぎぃ〜♪しかも知能レベルも低すぎぃ〜ぎゃぁぁぁあぁあああ!!!!』

握力で壁を壊したことはないが、今なら出来る気がする。いや、壊したい。

『ちょちょちょっ!モンちゃん壁で出来てるからって、もうちっと丁寧扱っ痛ててててて!!』
「だ・れ・が…馬鹿だってあ"あ"!?」
『仕方ないじゃないのぉ〜それが事実なんだからぁ〜♪それよりぃ〜早く行こ?学校☆気になるでしょっ!?気になるよねぇ〜!なんてったって、中では魔法がバンバン使われてるんだからっさ☆』

その言葉に、空月の握力は、ふ、と緩む。


「…………そりゃあ、」
『じゃあ決まりぃ♪行こ行こ〜まずは校長せんせーにアイサツが先だよぉ〜ん☆』

パッと空月の大きな手から逃れ、縦横無尽に宙を浮いた。

ただ、聖夜だけはデータの紙を、まだ見続けていた。












「幼稚舎でも…作るんスか?」

耐えかねた。元来、我慢強い方ではない自分だが、わざわざ業務を中断してまで来たというのに、用件は言わず、ただ絵本を読んでいる目の前の人物に、久しぶりに『放っておく』以外のコマンドを使用した。


「…あら。何故ですの?」

(何故って、そりゃあ…)

「校長が、絵本を読んでるから…ッス」

人物と、対象物を順番に指差し、説明に替えた。


「しかもそれ…随分懐かしいヤツっすね…ガキの頃よく読まされましたよ」

上質なグローブを纏った指が、丁寧にページを閉じた。


「ええ。これを読まない家庭は、まずないでしょうね…」
「確か…力がない魔女を…霊獣が助けるんでしたっけ?」

場所と話相手を忘れ、癖と化した動作を、ついしてしまう。

「そして、護るための契約を、結ぶ…という流れです」


指が半円を描くと同時に、くわえかけた煙草が宙を舞う。


「ここは喫煙禁止ですわ。ヒルザ教頭先生…それに禁煙していたのでは?」

惜しむように、空を見つめ、空いた手で乱暴に頭を掻く。

「無理…でした。慣れないことはするもんじゃないですね…」
「あら、幾つになっても、新しいことをするのは、良いものですわよ?」

また、指が半円を描き、最後に跳ねる。そして、ある紙が机の引き出しから現れ、見るように、と促される。



「転校生…?」
「まだ授業も本腰をいれてませんし、ちょうどよいかと思いまして、」
「へぇ…」

別に、転校生など珍しくもない。だのに、なんだって自分を呼んだんだろうか、と思案しかけたその時だった。ある一つの単語を危うく流しそうになる。
どういうつもりだ、と目で訴える。

が、ただただ、唇を綺麗な半月にするばかり。


「…本気、ですか?」
「ですから、貴方をわざわざお呼びしましたのよ?」
「いやっ…でもだからって、―」
『こうっちょーんっ☆…あらぁ?ヒルザっちいたのぉ?』

門衛の間抜けな声に邪魔されたことに、諦めのような怒りを若干覚え、話を続けようとする。だが、それもまた校長の返事により妨げられる。恐らく、後者は意図的で。


「コードネーム フィン=マックール。天万聖夜です」
「どうぞ、お入りになって」

(…天万…綾織か?)

どうして彼女がこのタイミングで、入室するのだろう。
訳の分からぬことが連続し、ついには、思考することさえ止まってしまった。

綾織に続いて入ってきた少年によって。













「まぁーいったなー…」

ため息の後、キャスターに全体重を乗せ、頭部を後方に投げ出す。逆さになったままの視界から、オーロラを思わせる髪色が覗く。

「どうかしたのか?沙那」



独特な甘ったるい香りを放つ銘柄の煙草をくわえ、指を鳴らして青い白光色が放たれる。

「どわっ!ちょ、人の顔の近くで火点けないでよ!!」

慌てて起き上がり、熱い熱いと手で払う。彼女、リリアンは、というと、揃った分厚い前髪から、ジッと大きな瞳で見つめる。


「な、なんだよ…」
「別に?これは、ただの嫌がらせだ」

ふぅ、と顔に向けて例の匂いと煙を吐かれ、咽せてしまう。煙草ではなく、飴でもくわえてそうな顔、…本人に言いたくはないが、お人形のような可愛らしい顔
で、そんなことをされるもんだから、余計のこと腹が立つ。

「最悪…」
「辛気臭い顔なんかしてるからだ。面倒事か?」
「面倒事も面倒事…校長からお呼び出し…さ」

肩に掛かったジャージ毎、参った、と両肩上げる。

「『面倒だなぁ』って考えてたら面倒事を考えることが面倒になって、考えるの止めてみたけど、今度は気になって紅茶も飲めなくなった」
「…紅茶…というか"ブランデー波々紅茶"だな。コレは」

不味い、と小さな舌を出す。

「わっ、ちょ、飲まんでよ!!」

のばした手には届かない場所まで、浮いてしまう。

「呼ばれてるんだろ?さっさと行けよ」

残りは飲んでてやるから、と手で払いのけられた。



「…まっず。捨てるか」

リリアンの独り言は、煙と共に宙に舞う。










(あの人苦手なんだよなー…)

意識すればするほど、扉を開ける手さえ、重くなるのは、大袈裟な表現ではなかった。

(つーか、得意な人なんか、いないか…)

クスリ、自嘲的に鼻で笑うことで、深呼吸に変える。

「コードネーム イルダーナ 清 沙那。入ります」
「あら、ちょうど良かったわ。お入りになって。参宮くん、貴方のクラスの担任になる方よ」

聞き慣れぬ名字、その後に続く言葉から察するに、どうやら編入生のようだった。なるほど、事態はそこまで深刻ではないようだ。

「失礼しま─」

そう、思った、瞬間だった。
度の入っていない眼鏡越しに、見える風景は、幻では、と疑った。
いや、疑いたくなったのだ。



校長と言うから、てっきり前の学校のような年をとった男かと思ったが、20代半ばの外見をした女性であった。しかも、上品さを絵に描いたような人物。

言葉から、物腰、仕草まで、完璧なそれだ。質のよい衣服、一周ある広い鍔から覗く瞳は、視線が合う度に、射抜かれるような眼光が潜んでいる。睫毛に装飾された一粒のビーズが、それを更に際立たせた。

対照的に、白いソファーに身を沈めていた男は、清楚な校長室に似つかわしくなかった。校長の話では、教頭らしいが、どことなく頼りない。
髪は四方八方に跳ね、後ろに束ねてはいるが、余計に纏まりのなさが目立つ。縁の太い眼鏡に隠れた目は、垂れているのか、元来そういう顔なのか。どちらでも良いが、この男、入室した時から、人を舐め回すように見ている。

空月としては気分が悪いことこの上なかった。


「ようこそ、聖ドルイド学園へ」



異質な上司と部下が並んだ相向かいに、聖夜と座る。(あちらから見れば、こちらも異質なのかもしれないが)


「まずは、こちらの不手際で、貴方を巻き込んでしまったことを謝りますわ」

見本のような、正しいお辞儀で謝罪され、慌てて声をかける。

「いやっ…別にそんなことは……」

頭は、まだ上がらない。

「ですが、貴方には、これから数々の戦場に立って頂かなければならなくなりました…もしかしたら、死─」
「死んだところで、それは俺が決めたことなんで。……別にいいッス…」

コバルトブルーの瞳が、大きく見開く。

「……貴方は、死を恐れていないのですか?」
「え?…いや、その…なんつーか……死なない自信が…あるっつーか……体力はあるもんで…」

即答した割には、大した根拠は用意されておらず、最後の方には、なんて幼稚な発想か、と羞恥に顔を赤らめる始末。隣りから、ロードである聖夜の溜め息が聞こえたのは、気のせいではない。

その場を救ったのは、校長の例によった、女性らしい抑えた笑いだった。

「お噂通り、面白い方ですわね。参宮くんは、」
「…は、はぁ…」

冗談と、取られたのだろうか。いや、この際そういうことにしてしまおう。
いやー、よく言われます、なんて見え透いた嘘を引きつった笑顔で話していると、あるものが視界に入る。

(……絵本?)

教材にでも使うものだろうか。


「あの…そ─」
『あーっ!!なっつかしぃ〜♪"tethered night"じゃぁ〜ん』

ぬぷっ、と机から、見覚えのある凹凸の少ない顔。急に出てくるものだから、驚いてソファーから落ちそうになる。

『ねぇねぇこうちょー!これどうしたのさっ!?ぼくこれ読みたか─痛だだだだ』
「テメェっ…ビビるだろうがっ!!急に出てくんなっ!!」
『仕方ないじゃないかぁ〜だって、─』
「この子は私の魔法で作ったものですから、この部屋に"力"を補給しに来なければなりませんの」
「力…?」

すると、フクロウのように顔だけこちらに向ける。

『つっまりー、充電しに来てるってワッケ〜☆』

充電、まるで携帯電話のようだ、と正直に思う。なんとなくだが、"魔法"というだけで、無限なもののイメージがあったからだ。

『この話さぁ〜、ラストがスッゴい泣けるよねぇ〜!!……あれれれ??そういえばラッちゃんは知らないんだったネ!』
「ラッ、…ちゃ」
『仕方ないなぁ〜もぉ!ぼくが分かりやすく教えてあげるよぉ♪』

頼んでもいないことを、どうしてこうも一気にしゃべれるのだろうか。本人だけが、楽しそうに自身に似たような指人形で説明を始める。

『まずねまずね、かっわいー魔女がいたのねぇ〜!そんでその子が悪い人に追いかけられてねぇ、そんでそこにすっごい強いアニマルが現れてねっ!!そんでそんでその子を華麗に助けちゃうワケ☆んでんでっ、アニマルは黙って帰ろうとしたけどねっ、魔女が怪我したアニマルをお礼にって、治してあげるのよ〜!!そしたらそしたら、アニマルが「僕はあなたを力で助けます。だからあなたは傷ついた僕を治してくれませんか?」って言うのよ!ココっ!ココめちゃくちゃ名言よっ!!ラッちゃんメモしてめっも☆そこから"ナイト契約"が始まったのよんっ♪』

どうだ、と指人形を紙吹雪で消し、短い両手を広げる。それに応えたのは、校長の拍手のみだった。


「本当に、モンちゃんはそのお話が大好きね」
『男のロマンだからっねぇ〜』
「ところでモンちゃん。子機から連絡よ?"お客様"をお迎えして下さる?」

流石は、生みの親、と賞賛するべきか。扱いを心得ている。動こうとしなかった門衛は、アイアイサー、と敬礼をし、また壁に潜って行ってしまった。


「概要は彼の物でだいたい合っていますが、これは"ナイト契約"の起源を寓話にすることで、魔界に浸透させようとしたのですね。先代は、」

つまりは、"ナイト"に関する手始めのマニュアル本という訳だ。薄紫色のグローブが細さを強調した指で、何個かの円を描くと、書類が勝手に封筒にまとまる。
手の平を返すと、糸の切れた操り人形のように、ふつ、と空中から空月の膝に落ちる。

「よろしければ、先ほどの物も差し上げますわ。魔界では、家庭に一冊はある代物ですの」

いくらなんでも、高校生にもなって、絵本を手元に置くのは気が引けた。

だが、"こちら側"の常識が分からぬ空月からしたら、言う通りにしなければならない気がした。

というか、何か得も言われぬ気迫に圧された。

あ、じゃあ…と弱々しい返事で受け取る。



「コードネーム イルダーナ 清 沙那。入ります」

校長室に入室する割に、気の抜けたような女の声。部類としては、教頭に似ているようだった。

「あら、ちょうど良かったわ。お入りになって。参宮くん、貴方のクラスの担任になる方よ」
「失礼しま─」

目が合った。先程、同類のように表現したが、教頭のように目は垂れておらず、むしろ軽くだが吊りがあっていた。というより、細いと言った方が的確かもしれない。その瞳が精一杯開かれ、固まってしまったのだ。
もしかしたら、自分の風貌に驚いたのだろうか。
校内を歩いた感想としては、髪色は様々だが前の高校のような柄の悪い連中は、ほとんどいない。だからだろうか。

(…俺恐がれてる?)

だが、それにしては、あまりに真っ直ぐ見据えている。大抵は、視線を外すか、呆れたように見られるのものだが。

軽く会釈をしてみたが、返ってくる様子はなかった。

彼女の意識が覚醒したのは、校長の声だった。

「清先生。彼を案内して下さいませんか?」
「え?…あ、はい…」

他人事のように眺めていた空月に、聖夜が小声でついて行くように促し、慌てて立つ。





二人が退室したのを見守り、聖夜は立ち上がって、頭を下げた。

「申し訳ありませんでした」
「何が…ですか?」

優雅に、観葉植物に水やりをする校長は、聖夜を見もしない。


「…任務中の…命令違反です。罰ならば、如何様にも謹んでお受けします」
「…そうですね、」


水音が、やけに部屋に木霊す。

(…ま、普通なら謹慎…或いは、外部任務証の剥奪ってとこ…だな)

一教員でありながらも、ヒルザは傍観に徹していた。というのも、この手の権限は彼にはなかったからだ。

「では、罰として─」

カタン、と陶器の如雨露を机に置き、聖夜に近付く。





「"貴女のナイト"を、大切になさい」

意外な刑罰に、思わず頭を上げてしまう。


「大丈夫ですわ。彼なら、きっと良いナイトに、なってくれます」


ありがとうございます、と消えそうな程の声で、請うようにまた頭が下がった。




(やっぱ…第一印象悪い?)

苦笑いをしてみるが、いまいち自分を慰める効果はない。そういう扱いは、中学の頃からなので、慣れたと言えば慣れた。
と、強がってみるものの、やはり応える。

冗談でもかますべきだろうか。いや、ふざけていると思われる。かと言って、真面目に施設の説明を聞いていても、誤解は深まるばかり。
とにかく何か言葉を発しなければ、と切り出した。

「あ、…あの…先生の名字変わってますよね!?こっちじゃ普通なんスか─」
「あのさっ…」

急に、踵を返し、危機迫った顔で話を中断される。

怒られる、と思ったが、検討違いな言葉が、出てくる。


「お前っ……お前の母親の名前って…なんだ!?」
「は?……え、母お…や?……えと、"二葉"…ッスけ‥ど…」


長い沈黙の後、笑った、のだ。


自嘲気味に。



「……そっ…か」
「…あの─」
「ゴメンゴメンっ!!…今のなし!なっ?」

煙でも払うように手を振り、背中を向ける。

(なんか……)

誤魔化された。

悲しい、訳ではないが、自然と沈んだような顔をしていたらしく、それに気付いた清は、また例の笑いをした。



「……似てたから」
「…へ?」
「…知り合いに、死んだ知り合いに似てたから、もしかしてってさ!!」

凝った肩をほぐすように、両手を上に上げる。

「やー…アレだな。年はとりたくないもんだね。"もしかして"なんて…」

くだらない、希望を…そう続いたのを聞き逃さなかった。


空月は、知っていた。その"希望"は、やがて願いとなり、祈りに変わると。


「"くだらない"って、思うなら、…もう少しッスよ」
「………?」
「もう少しで、"諦め"られますよ…」
「……大人、だな。参宮は、」

そう言って笑った顔は、少しだけ母親に似ていた。




「ナイト契約なんて…誰が考えたんスかね…」

バラバラと、乱暴に絵本のページを捲る。先程の物とは違い、可愛らしい絵柄ではなかった。怖い、とさえ思える。それを察知したのか、補足をした。


「それは、原作に一番違いと言われるものですから、」
「原作?」

汲まれた紅茶は、軍隊のように綺麗な列でセットとして並んでいる。

「寓話…というものは、大抵はフィクションですが、これは違います」
「…実際に、あった…?」

初耳だ、と確かめるように尋ねる。


「ええ……無能な魔女は、霊獣以下の存在…その存在は、ある日一転するのです」

ページを持つ手を、放した。余程、その本が古いのか、あるページが、自然と開かれる。



「彼女たちによって、」
「……残酷、ッスね」
「得てして、寓話とはそのようなものですわ」
「……アナタも、」

獰猛さを秘めた瞳に、クスリと軽い笑いで応える。



「あら、そんなことは周知のことでは?」




真っ黒な髪色をした男女。

魔女として描かれている女の瞳が、碧色をしていたのを、一体どれだけの人が気付いただろうか。











乱暴者は、

ある日を境に、


一人の少女を

護るだけの存在になった。



人はそれを


とても残酷な仕打ちだと、

そう云った。


cruel fairy tale

すべての始まりを知る者などいるのだろうか




いよいよ入学。
全然ワクワクウキウキスクールライフ感がないのは気のせいじゃないです

相関図